岡崎歯医者が解説!治療中の「息苦しさ」は怖くない

こんにちは。 「岡崎歯医者」院長の、高田裕史(たかだ ひろし)です。

突然ですが、歯医者の診療台に座ったとき、あるいは治療中に、こんな経験をされたことはありませんか?

「なんだか息が苦しい」 「ドキドキして、手足の先がしびれてきた」 「空気を吸っても吸っても足りない気がする」

もし心当たりがあるとしても、決してご自身を責めないでください。「自分は怖がりだから」「情けない」なんて思う必要は全くありません。
これは、歯科治療という特殊な環境下で、体と心が精一杯反応しようとして起きる「過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)」という生理的な現象です。

今回は、2025年6月に日本歯科麻酔学会から発表されたばかりの最新資料『歯科治療中の過換気症候群に関するプラクティカルガイド』の内容をベースに、この「息苦しさ」の正体と、当院が行っている「最新の医学に基づいた安全対策」についてお話しします。

「袋を口に当てて呼吸する」という昔の対処法が、実は今は推奨されていないことをご存知でしょうか?
正しい知識は、不安を消し去る一番の薬です。どうぞリラックスしてお読みください。

1. 治療中の「ハアハア」には理由があります

歯科治療中に、急に呼吸が速くなったり、息苦しさを感じたりする「過換気症候群」。 「若い女性に多い」というイメージがあるかもしれませんが、実は年齢や性別に関係なく、誰にでも起こりうるものです。

なぜ起こるのでしょうか?

原因の多くは、「不安」と「緊張」です。 「痛くないかな」「何をされるんだろう」という精神的なストレスを感じると、私たちの脳は「戦うか、逃げるか」の準備を始めます。すると、全身に酸素をたくさん送ろうとして、無意識のうちに呼吸が速く、深くなってしまうのです。

体の中で起きていること

必要以上に空気を吸って吐いてを繰り返すと、血液の中の二酸化炭素(CO2)が呼気と一緒に吐き出されすぎてしまいます。 二酸化炭素は「老廃物」と思われがちですが、実は血液を適切な酸性・アルカリ性のバランス(pH)に保つために不可欠な物質です。これが減りすぎると、血液がアルカリ性に傾き(呼吸性アルカリローシス)、血管が収縮します。

その結果、以下のような症状が出ることがあります。

  • 手足や唇のしびれ(テタニー症状)
  • 頭がボーッとする
  • 胸が苦しい、動悸がする

重要なのは、これらは「心臓が止まる」とか「窒息する」といった危険な状態ではないということです。体が一時的にバランスを崩しているだけですので、呼吸が整えば必ず元に戻ります。安心してくださいね。

2. 【重要】「紙袋」は使いません~2025年の新常識~

ここからが、今回最も皆様にお伝えしたい「医学のアップデート」です。

皆様は、過換気の発作が起きたとき、「紙袋を口に当てて、吐いた息をもう一度吸う(ペーパーバッグ法)」という処置をドラマや学校で見たことがありませんか?

実は、最新の『歯科治療中の過換気症候群に関するプラクティカルガイド 2025』において、この方法は「原則として行うべきではない(推奨されない)」と明記されました。

なぜ「紙袋」はダメなのか?

昔は「減りすぎた二酸化炭素を戻すために、吐いた息(二酸化炭素が多い)を吸わせる」ことが良いとされていました。 しかし、最近の研究で以下のリスクがあることが分かってきました。

  1. 低酸素血症のリスク 酸素の少ない空気を吸い続けることで、血液中の酸素濃度が危険なレベルまで下がってしまう(低酸素血症)恐れがあります。
  2. 他の病気を見逃すリスク もし、息苦しさの原因が過換気ではなく、気胸や心臓の病気だった場合、紙袋を使うことで状態を悪化させてしまう可能性があります。

岡崎歯医者では、この最新のガイドラインを遵守し、危険なペーパーバッグ法は行いません。 「昔とやり方が違うけれど大丈夫?」と心配される必要はありません。私たちは常に最新の安全性を選んでいます。

3. 岡崎歯医者が実践する「本当に安全な対処法」

では、もし当院での治療中に息苦しくなったら、私たちはどのように対応するのか。 ガイドラインに基づいた、当院の標準ケアをご紹介します。

① まずは「座る」ことから

治療中は椅子が倒れていますが、息苦しさを感じたらすぐに椅子を起こし、座った姿勢(起座位:きざい)をとっていただきます。 お腹が圧迫されにくくなり、横隔膜が下がることで呼吸が楽になります。これだけで落ち着く方もたくさんいらっしゃいます。

② 「1・2・3」の呼吸コーチング

ガイドラインでは、「呼吸のアドバイス(口頭指示)」が推奨されています。 過換気の時は「吸わなきゃ!」と焦ってしまっていますが、実は「吐くこと」が大切です。

院長の私やスタッフが、 「大丈夫ですよ、ゆっくり息を吐いてみましょう」 「1、2、3で息を止めて、ゆっくり吐いてみましょう」 と、優しくリズムを整えるお手伝いをします。 声をかけながら一緒に呼吸を整えるだけで、血液中のガスバランスは正常に戻っていきます。

③ パルスオキシメーターでの監視

指先に「パルスオキシメーター」というクリップをつけ、血液中の酸素濃度(SpO2)と脈拍をリアルタイムで確認します。 「酸素は足りている」ということが数値で見えれば、私たち医療者も適切な判断ができますし、患者様ご自身も「ああ、体は大丈夫なんだ」と安心材料になります。

4. あなたの「不安」を、私たちの「準備」に変えるために

過換気症候群は、事前の準備で防げることが多いのも特徴です。 岡崎歯医者へお越しの際は、ぜひ以下のことを心がけてみてください。

遠慮なく「怖い」と言ってください

これが最も効果的な予防法です。 「昔、過呼吸になったことがある」 「久しぶりの歯医者で緊張している」 問診票に書いていただくか、受付やスタッフにこっそり教えてください。

事前に分かっていれば、私たちは以下のような配慮ができます。

  • 治療の合間にこまめに休憩を入れる。
  • 椅子を倒しきらずに、少し起こした状態で治療する。
  • 「次は風をかけますね」など、驚かせないようにお声がけを増やす。

治療当日はリラックスできる服装で

首元や、お腹周りがきつい服装は、息苦しさを助長することがあります。 ネクタイを緩めたり、締め付けの少ない服装で来ていただくだけでも、呼吸が深くなり、リラックス効果が高まります。

5. 院長・高田裕史より岡崎の皆様へ

歯科医院という場所は、どうしても「非日常」の空間です。 お口の中に器具が入り、機械の音が聞こえる。そんな状況で緊張するなという方が無理かもしれません。

だからこそ、私は患者様に 「頑張って口を開けてください」 とは言いますが、 「緊張しないでください」 とは言いません。緊張するのは、あなたの体が正常に反応している証拠だからです。

大切なのは、その緊張が「パニック」にならないように、私たちがプロとしてコントロールし、寄り添うことです。 最新の2025年ガイドラインを学び、古い常識にとらわれず、常に一番安全な方法を選択する。それが、岡崎歯医者のプライドです。

「ドキドキしたら、先生が止めてくれる」 「苦しくなったら、すぐに椅子を起こしてくれる」

そう信じて、身を委ねていただければと思います。 もし治療中に少しでも「変だな」と感じたら、我慢せずに左手を挙げてください。 私たちは、いつでもあなたの味方です。

安心して、岡崎歯医者のドアを叩いてください。 皆様の健康と安心を、スタッフ一同、心よりお待ちしております。


監修: 岡崎歯医者(インプラントクリニック岡崎) 院長 高田裕史
記事内の対応方針は『歯科治療中の過換気症候群に関するプラクティカルガイド 2025』等の最新医学的根拠に基づいています

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