こんにちは。 「岡崎歯医者」院長 高田裕史(たかだ ひろし)です。
虫歯や歯周病、あるいは不慮の事故などで、大切にしていた歯を失ってしまった時。 多くの患者様が直面するのが
「ブリッジにするか、インプラントにするか」
という選択です。
「手術が怖いから、手軽なブリッジでいいかな」
「保険が効くし、とりあえずブリッジにしておこう」
そう思われるお気持ち、よく分かります。
しかし、歯科医師として「長期的なお口の健康」を考えた時、安易にブリッジを選ぶことが、必ずしもベストな選択とは言えない場合があります。
今回は、歯科医療の統計データ(エビデンス)に基づき、なぜ私が「将来を見据えるならインプラント」をお勧めするのか。
その医学的な理由を丁寧にお話しします。 決してブリッジを否定するわけではありませんが、長く自分の歯で食事を楽しむための「投資」について考えてみましょう。
データが語る「ブリッジの寿命」の現実
まず、皆様に知っていただきたい客観的なデータがあります。
北海道大学の研究チームが発表した論文『臼歯部修復物の生存期間に関連する要因(2008年)』です。
奥歯に入れた詰め物や被せ物が、どれくらいの期間「再治療なしで持ったか(生存期間)」を調査しています。
その結果、非常に興味深い、そして少しシビアな数字が明らかになりました。
ブリッジの平均寿命は約7年
この調査によると、金属製のブリッジ(メタルブリッジ)の平均生存期間は「2,557日(約7年)」でした。 他の修復物(インレーやクラウン単体)が3,000日を超えている中で、ブリッジは最も短い結果となったのです。
10年後、無事なのは約3割だけ?
さらに衝撃的なのが「10年生存率」です。
治療してから10年後に、トラブルなく機能していたブリッジは、わずか31.9%でした。
つまり、約7割のブリッジが10年以内に何らかの理由(虫歯の再発や破損など)で再治療が必要になったということです。
もちろん、これはあくまで統計データであり、すべての方に当てはまるわけではありません。
しかし、「一度入れたら一生モノ」だと思ってブリッジを選ぶと、数年後にまた治療が必要になる可能性が高いことは、知っておくべき事実です。
2. なぜブリッジは長持ちしにくいのか?
では、なぜブリッジは他の治療法に比べて寿命が短い傾向にあるのでしょうか?
決して「作り方が悪い」わけではありません。そこには、ブリッジという構造が抱える「宿命的な弱点」があります。
① 「3人分の仕事」を「2人」で背負う過酷さ
ブリッジは、失った歯の両隣にある健康な歯を削り、橋(ブリッジ)をかけるように繋げる治療法です。
例えば、真ん中の歯が1本なくなった場合、両端の2本で、本来3本で支えるべき噛む力を負担することになります。
単純計算でも、支える歯には1.5倍の負担がかかります。
毎日何千回と繰り返される食事のたびに、過剰な力がかかり続けます。そのため支えている歯が揺れてきたり、歯根が割れてしまったりするリスクが高まります。
② 掃除が難しく、虫歯になりやすい
ブリッジの構造上、ダミーの歯(ポンティック)の下には隙間があり、食べカスや汚れが溜まりやすくなります。
しかも、繋がっているためフロス(糸ようじ)を通すのが難しく、どんなに丁寧に磨いてもプラークが残りやすいのです。
その結果、支えにしている大切な歯が虫歯や歯周病になり、共倒れになってしまうケースが少なくありません。
3. インプラントが「第二の永久歯」と呼ばれる理由
一方で、インプラント治療は全く異なるアプローチをとります。 骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を立てる方法です。
ブリッジと比較した時の最大のメリットは、「完全に独立している」という点です。
メリット①:周りの歯を一切削らない・負担をかけない
インプラントは、失った歯の場所に「新しい柱」を立てるようなものです。
そのため、両隣の健康な歯を削る必要がありません。また、噛む力もインプラント自体がしっかりと受け止めます。
他の歯に負担をかけるどころか、「周りの歯を守る役割」を果たしてくれます。
メリット②:骨が痩せるのを防ぐ
歯を失うと、刺激が伝わらなくなったアゴの骨は徐々に吸収されて痩せていきます。
ブリッジや入れ歯ではこの現象を止めることはできません。 しかし、インプラントは噛む刺激を直接骨に伝えるため、骨の健康を維持し、お顔の若々しさを保つことにも繋がります。
メリット③:寿命が長い
適切なメンテナンスを行っていれば、インプラントの10年生存率は90%以上と言われています。
先ほどのブリッジのデータ(約30%)と比較すると、その安定性の高さがお分かりいただけるかと思います。
4. 岡崎歯医者が考える「インプラント」という選択肢
「でも、インプラントは手術が必要でしょう?」「費用が高いのが心配」 そう思われるのは当然のことです。
しかし、当院ではインプラントを単なる「高価な治療」ではなく、「将来への健康投資」と考えています。
もしブリッジを選んで7年後に再治療になった場合、支えていた歯が虫歯になっていれば、さらに手前の歯まで大きく削ることになります。
最悪の場合は抜歯となり、欠損が広がってさらに大きなブリッジや入れ歯が必要になる……
という「負の連鎖」に陥る可能性があります。
インプラントは、初期費用こそかかりますが、周りの歯を傷つけず、長期間安定して使えます。
そのため、長い目で見れば「歯を失う連鎖を食い止める」ための最も有効な手段となり得るのです。
5. あなたのお口に合ったベストな選択を
もちろん、すべての方にインプラントが適しているわけではありません。
アゴの骨の状態や、全身疾患(重度の糖尿病など)の有無によっては、ブリッジの方が安全な場合もあります。
岡崎歯医者では、CT撮影による精密な診断と、丁寧なカウンセリング(相談)を何より大切にしています。
- 現在の骨の状態はどうなっているか
- 周りの歯はブリッジの負担に耐えられるか
- ライフスタイルやご予算のご希望
これらを総合的に判断し、院長の私、高田が責任を持ってアドバイスさせていただきます。
「無理に勧める」ことは絶対にありません。
メリット・デメリット、そして将来のリスクを包み隠さずお話しし、患者様ご自身が「これなら納得できる」と思える治療法を一緒に探していきましょう。
まとめ:10年後も美味しく食べるために
歯は、一度削ったり失ったりすると、二度と元には戻りません。
だからこそ、目先の「手軽さ」だけでなく、「10年後、20年後に自分の歯が何本残っているか」という視点で治療法を選んでいただきたいのです。
「ブリッジにしようか迷っている」 「他の医院でインプラントを勧められたけど、不安がある」
そんな方は、ぜひ一度、岡崎歯医者にご相談ください。 セカンドオピニオンも大歓迎です。
岡崎の皆様が、一生ご自身の歯でお煎餅やステーキを噛み切り、笑顔で会話を楽しめる。
そのお手伝いができることが、私たちスタッフ一同の喜びです。
皆様のご来院を、心よりお待ちしております。
参考文献:
- 青山貴則, 相田潤, 竹原順次, 森田学『臼歯部修復物の生存期間に関連する要因』口腔衛生学会雑誌 58: 16-24, 2008.
監修: 岡崎歯医者(インプラントクリニック岡崎)院長 高田裕史