岡崎で骨粗鬆症のお薬を飲む方へ。第2話

こんにちは。 「岡崎歯医者」院長の、高田裕史(たかだ ひろし)です。

全3回でお届けしている「骨粗鬆症のお薬と歯科治療」の特別コラム。
第1回では、「お薬を飲んでいるからといって、歯科治療を諦める必要はない」という、医学界の新しい常識についてお話ししました。

第2回となる今回のテーマは、「抜歯(ばっし)」です。

「アゴの骨が壊死する副作用(MRONJ)」は、抜歯などの外科処置がきっかけに顕在化することが多いとされています。
そのため、「骨の薬を飲んでいる=歯を抜けない」と信じ込んでいる方が非常に多いのが現状です。

今回は、なぜ今「お薬を止めずに抜歯をする」ことが推奨されているのか、その医学的な理由と、岡崎歯医者で行っている安全対策について深掘りします。

1. 「薬を止める」ことのほうが実は危険?

かつては、骨粗鬆症のお薬(BP製剤やデノスマブなど)を服用している方が抜歯をする場合、「念のため2〜3ヶ月薬を休んでから」という対応が一般的でした。
これを「休薬(きゅうやく)」と言います。

しかし、世界中の膨大なデータを解析した結果、衝撃的な事実が明らかになりました。

  1. 休薬しても、アゴの骨が壊死しない証拠がない。 お薬の成分は骨の中に長期間留まるため、数ヶ月止めたところですぐに消えるわけではないのです。
  2. 休薬すると、骨折のリスクが急激に高まる。 お薬を止めると、骨密度はすぐに低下し始めます。特に高齢の方にとって、転倒による「大腿骨骨折」や「脊椎圧迫骨折」は、寝たきりや寿命の短縮に直結する重大な事故です。

最新のガイドライン(ポジションペーパー2023)では、「稀にしか起こらないアゴの骨の病気を心配して休薬するよりも、命に関わる骨折を防ぐメリットの方がはるかに大きい」と結論づけています。

だからこそ、当院では原則として「お薬は止めずに、飲み続けてもらう」方針をとっています。
「先生、薬を止めなくていいんですか?」と驚かれることもありますが、それが、あなたの体全体を守るための最新の医学的判断なのです。

2. 「抜かない」で様子を見るのが一番危ない

「抜歯がきっかけになるなら、グラグラの歯を抜かずに放置しておけばいいのでは?」 そう考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これは間違いなく最悪の選択です。

顎骨壊死(MRONJ)の本当の原因は、お薬そのものではなく、お口の中の「細菌感染」です。
ボロボロになった歯、膿が溜まった歯根、重度の歯周病……これらは細菌の巣窟であり、アゴの骨に常にダメージを与え続けています。

ポジションペーパーでも、「感染源となる歯を放置すること自体が、顎骨壊死のリスクを高める」と明記されています。
つまり、悪い歯をいつまでも残しておくことのほうがよっぽどリスクが高いのです。

3. 岡崎歯医者が行う「安全な抜歯」の3ステップ

お薬を止めずに抜歯をするためには、通常とは異なる「特別な配慮」が必要です。
当院では、以下のステップを徹底することで、顎骨壊死のリスクを極限まで下げる取り組みを行っています。

ステップ①:術前の徹底クリーニング(口腔衛生管理)

いきなり抜きません。まずは歯科衛生士が、お口の中の細菌数を徹底的に減らします。
歯石を取り、歯茎の炎症を抑えてから処置を行うことで、術後の感染リスクを下げます。

ステップ②:抗生物質の適切な使用

抜歯の前後には、細菌感染を防ぐために抗生物質(化膿止め)を服用していただきます。
お薬の種類や飲み方も、患者様のリスクに合わせて調整します。

4. 抜歯した後、あなたにお願いしたいこと

手術が成功するかどうかは、実はご帰宅後の患者様の行動にも掛かっています。 以下の2点を必ず守ってください。

  1. 処方されたお薬は飲みきってください 「痛くないから」といって抗生物質を途中でやめないでください。見えない菌と戦うために必要です。
  2. 「うがい」のしすぎに注意 清潔にしたい気持ちは分かりますが、激しくうがいをすると、傷口を治すための血の塊(餅)が流れてしまい、骨が露出してしまいます。優しく含む程度のうがいに留めてください。

まとめ:次回は「一生の予防」について

「お薬を飲んでいても、正しい手順を踏めば抜歯は怖くない」 このことが伝わりましたでしょうか?

もちろん、リスクはゼロではありません。しかし、恐れて治療を先延ばしにすることの方が、リスクを育ててしまうことになります。 もし、他院で「うちでは抜けない」と言われた場合でも、一度当院にご相談ください。医科の主治医と連携し、最適な方法をご提案します。

さて、最終回となる次回(第3回)は、そもそも抜歯をしなくて済むようにするための「予防と日常ケア」についてお話しします。
骨のお薬を飲んでいる方が、日常生活で気をつけるべき「小さくても重要な習慣」とは?

どうぞお楽しみに。

岡崎歯医者(インプラントクリニック岡崎)
院長:高田裕史
住所:愛知県岡崎市戸崎町屋敷93番地1

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